公認会計士藤井實事務所のホームページにお越しいただきましてありがとうございます。
当事務所は東京都千代田区を中心に、税務と会計の業務に真摯に携わって参りました。
税務・会計のスペシャリストとして豊富な知識と経験により、お客様の様々なニーズに幅広く細やかにお応え致します。
令和6年6月1日現在における勤務者のうち、給与等の源泉徴収事務で甲欄の適用となる人が控除対象者(月次減税額の控除の対象となる人)になりますが、6月分の給与等の計算処理の前に、個人ごとに、月次減税額の基準となる扶養等人数「同一生計配偶者と扶養親族の数」及び月次減税額(「本人+扶養等人数」×30,000円)を入力処理します。
月次減税額の控除の対象になる扶養等人数は、令和5年度の年末調整計算時に提出されている「扶養控除等申告書」に基づき判断して入力を行います。ただし、扶養控除等申告書に記載されていない同一生計配偶者(令和6年中の本人の所得見積額により、源泉控除対象配偶者にはならない同一生計配偶者)や、16歳未満の扶養親族で扶養控除等申告書には記載がないが月次減税額の計算に含める場合は「源泉徴収にかかる定額減税のための申告書」を個人から提出をしていただく必要がありますので注意が必要です。
6月分以降の各給与等計算後に、各個人の源泉徴収所得税額と上記で入力した月次減税額とを比較し、控除税額を自動的に計算する処理を行うようにします。控除税額を控除した所得税額は、給与計算データの所得税額として自動的に書換え処理します。
なお、月次減税額から控除税額を控除した控除未済額は給与計算データとは別のデータとして保存し、次回の給与等計算で算出される源泉徴収所得税額との比較で次の控除税額を計算することとなります。
月次減税額等の入力データ及び6月分以降の給与等計算後に行う控除税額の自動計算データにより「各人別控除事績簿」を自動作成し(追加処理)、各個人別の定額減税処理の確認資料とします。
出力例を下表に示しますが、内容は、国税庁で提供しているExcel様式と同様です。
給与や賞与の支給明細書の所得税欄は、定額減税後の所得税が記載されることになります。そこで、定額減税を行う前の本来の源泉徴収税額である「控除前税額」と、「定額減税額」を内訳として表示し、減税による所得税額算出過程がわかるようにします。
個人別の月次減税額(控除限度額)や月次控除額計算を行う前の源泉徴収所得税額及び控除した金額、結果としての給与等からの控除所得税額を一表にし、各個人に定額減税の状況を把握してもらうための資料を作成します(追加処理)。
この表は、給与支給明細書とともに、各個人に渡す資料となります。
年調減税の対象者は、年末調整の対象となる人のうち、合計所得金額が1,805万円を超えない見込みの人です。まず、年調減税対象者について、個人ごとに減税額の基準となる扶養等人数「同一生計配偶者と扶養親族の数」を把握し、扶養等人数と減税額(「本人+扶養等人数」×30,000円)を入力処理します。
この人数については、年末調整のときに各個人から提出してもらう「扶養控除等申告書」や「配偶者控除等申告書」などに基づき判断しますが、例えば合計所得金額が1,000万円超の人で、配偶者の合計所得金額が48万円以下のような場合には、配偶者控除等申告書に記載がなくても「年末調整に係る定額減税のための申告書」を提出してもらうことにより定額減税の対象者となりますので、注意が必要です。
年末調整計算処理において、住宅借入等特別控除後の所得税額(年調所得税額)から、その金額を限度に減税額を控除します。控除し切れなかった金額は、控除外額とします。
年調減税額を控除した「年調減税額控除後の年調所得税額」に対し、復興特別所得税を含めた年調年税額を算出し、年内の源泉徴収済額との差額が過不足額として精算します。
これらの計算の結果は、源泉徴収簿(年末調整明細表)の年末調整欄の摘要欄に記載して印刷するもが一つの方法です。
年末調整計算処理後に印刷する源泉徴収簿(年末調整明細表)は、定額減税の実施により、次の2点の追加記載を行って印刷するようにします。
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毎月の給与等の支給金額や算出税額を記載する個所(帳表の左側)の各給与等の「算出税額」欄 月次減税による控除税額を上段にマイナス表示して記載します。実際の給与等の支払における控除所得税額は、算出税額―控除税額となります。 |
A |
年末調整の欄の「年調所得税額」や「差引超過額又は不足額」を記載する個所の金額が定額減税により変更になり、摘要欄に次のように記載を追加します。
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年末調整終了後に作成する「給与所得の源泉徴収票」には、次のような内容を「摘要」欄に記載します。
@ | 実際に控除した年調減税額を「源泉徴収時所得税減税控除済額 ×××円」のように記載。 |
A | 年調減税額のうち年調所得税額から控除しきれなかった金額がある場合には、その金額を「控除外額 ×××円」のように記載。ただし、控除しきれなかった金額がない場合には「控除外額 0円」と記載。 |
B |
合計所得金額が、1,000万円超である居住者の同一生計配偶者を年調減税額の計算に含めた場合には「非控除対象配偶者減税有」と記載。
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原則課税によって消費税を納付している事業者の場合、受け取った消費税額と支払った消費税額との差額を税務署に納付します。
インボイス制度のもとでは、顧客からみて消費税を支払った支払先(自社)が発行事業者を選択せずインボイスを発行しないということになると、顧客は支払った消費税が控除対象の消費税とすることができないため、税務署に納付する消費税が現在よりも増えることになります。
このことは、インボイスを発行する事業者に比べて取引条件としては不利になるため、このまま取引を続けてもらえるかどうかの検討要因にもなりかねないことになります。
したがって、顧客が原則課税の事業者の場合で、その顧客が重要な取引先であるときには、インボイス発行事業者の登録をしてインボイスを発行することが必要になる可能性が高くなると思われます。
ただし、現在免税事業者である場合、「2.インボイス発行事業者を選択するべきかどうかの判断」で説明しますが、インボイス発行事業者を選択すると消費税を納める課税事業者になることから、選択するかどうか十分な検討が必要です。なお、免税事業者からの仕入には、次の表のように、インボイス制度開始時から6年間については一定額が仕入税額控除の対象になりますので、発行事業者選択の時期を含めて検討が必要です。
(注) | 経過措置の適用は、区分記載請求書と同様の事項が記載された請求書等及びこの経過措置の適用を受ける旨を記載した帳簿を保存している場合に限ります。 |
顧客が簡易課税の事業者の場合、顧客が税務署に納付する消費税額は、支払った消費税の額にはかかわらず課税売上高の金額のみによって計算するため、自社がインボイス発行事業者にならずインボイスを発行しなくても増えることにはなりません。また、顧客が免税事業者の場合にはもともと税務署に消費税を納付していないため無関係です。
したがって、顧客にとって不利になることはなく、取引を続ける上で検討する要素はないということになります。ただし、顧客が原則課税の事業者なのか、簡易課税の事業者又は免税事業者か分かっていることが前提としての判断になります。
また、重要な顧客がインボイス制度の開始に伴い、新たに原則課税の事業者を選択することも考えられますので注意が必要です。
自社が原則課税、簡易課税のどちらかにかかわらず課税事業者の場合には、顧客(取引先)の有利性を考えると、インボイス発行事業者を選択し、インボイスを発行することが適切である場合が多いものと考えます。
仮に、顧客の中にインボイスを必要としない最終消費者(一般顧客)が多く、インボイスを発行しなくても特に顧客に不利になることがない場合には、インボイスを発行することによる事務手続きの手間の増大を考えインボイス発行事業者にならないことも選択肢になると思いますが、限定的なものにとどまるものと考えられます。
インボイスの発行による手間の中には、請求書の定められた様式への変更のほか、インボイスの控えを7年間保存する義務の発生もあります。
なお、インボイス制度に移行すると、原則課税事業者の場合の納税額の算出に伴う仕入税額控除の方式が現在よりも複雑になるという問題が別に発生します。また、簡易課税の場合であっても、税抜経理方式を採用しているときには、やはり仕入税額控除の方法が複雑となり会計処理の事務量が現在よりも増加することに留意する必要があります。この問題については「3.インボイス制度開始に伴う会計記帳事務への影響」で詳細に説明します。
自社が現在免税事業者の場合には、インボイス発行事業者となりインボイスを発行した方が良いのかインボイス発行事業者にはならない方が良いのか十分な検討が必要です。
これは、インボイス発行事業者を選択すると免税事業者のままではいることはできず課税事業者となってしまい、消費税の納税を行う必要が出て来るためです。
「1.インボイス発行事業者選択による顧客(取引先)への影響」で説明したように、顧客が原則課税の課税事業者の場合には、自社がインボイスを発行しないと、顧客にとって不利になるため、取引を継続して行くために障害が出て来る可能性があります。
一方で、インボイス発行事業者の登録を受けるためには、課税事業者を選択する必要があることから、消費税の税負担が新たに発生するという問題が出て来ます。したがって、この二つの問題を天秤にかけ、どちらが御社にとって有利か慎重に判断することになります。
仮に、免税事業者のままでいる場合、顧客が仕入税額控除で不利になるため、顧客から値下げ要求をされることも考えられます。値下げの幅によっては、免税事業者ではなく課税事業者になった方が良いというケースがあるかも知れません。値下げによる損失と課税事業者になった場合の税負担との比較の問題になるからです。
インボイスを交付できるのは、インボイス発行事業者に限られます。したがって、買手側がインボイスによって仕入税額控除を受けるためには、受領したインボイスがインボイス発行事業者として登録されている事業者のものかどうか確認をする必要があります。
そのため、国税庁のホームページ等で登録番号を検索し、真にインボイス発行事業者かどうかの確認を行う手間が生じます。
仕入税額控除を受けるためには、受領したインボイスの保存が義務付けられるほか、仕入の相手先、取引年月日、取引内容、対価の額などを記載した帳簿の保存が義務づけられることとなります。
仕入の相手先等を帳簿に記載することは、現在でも求められてはいることですが、インボイス制度のもとでは、インボイス1件ごとに、インボイスの内容と同様に軽減税率の対象品目であるかどうかなど詳細に記入する必要があり、帳簿記載の手間の増大を招くことが考えられます。
会計処理における仕入税額控除の方法が、次のように、取引の種類・内容により多様化します。
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インボイスを受領する取引の場合は、インボイス1件ごとの記載内容にしたがって、取引対価の額、消費税額などを反映させるように入力します。 したがって、現行では、同じ勘定科目で、同じ税率区分の内容が同じ取引の請求書については、何枚分かまとめて一取引として仕訳していたものを、インボイス1件ごとに仕訳しなければならないことになると入力データ量の増大につながります。 |
A |
インボイスの交付を受けることが困難な取引で、定められた範囲内の取引は、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められるため、現在の仕訳入力同様の税額控除方式で処理することになるものと考えられ、仕訳パターンの多様化を伴います。 例えば、公共交通機関を利用した場合の料金で3万円未満のものや、自動販売機を利用した料金で3万円未満のもの、郵便ポストに差し出されたものなどです。 |
B | 免税事業者からの仕入については、原則として仕入税額控除を行うことができなくなりますが、「1.インボイス発行事業者選択による顧客(取引先)への影響」で説明したように、一定の期間は、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額として控除することができるため、仕入税額控除の仕訳処理方法が異なって来ます。 |
このような仕入税額控除の処理方法の多様化は、仕訳入力時の判断や入力作業の複雑化を伴って来るものと思われます。
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